お酒というものは常に毀誉褒貶にさらされているものだ。
お酒は健康や脳に良くないと言われ、上司・同僚とのコミュニケーションツールとして酒を酌み交わすことは必要だとも言われる。日本酒や焼酎がニッポンの誇る文化だと賞賛される一方、未成年の飲酒や飲酒運転を非難する声は年々手厳しくなっている。
こうした賛否が取り沙汰される場では、お酒がもたらす「からだ」に対する影響と「こころ」に対する影響のメリット・デメリットが議論されている。
思うのは、お酒にまつわる問題の核心は「からだ」と「こころ」の不一致にあるのではないかということ。
お酒を飲んで気分が上がって「こころ」は先走るが「からだ」は置いてきぼりなんてことになっていないだろうか。ろくに食べずに飲んでばかりいて、声も大きく会話も雑になり、さっき言ったことをまた言ってるなんて指摘されたりしていないだろうか。
今回紹介する福島の仁井田本家という酒蔵による「にいだしぜんしゅ 燗誂」。
このお酒を温めて飲むと、こころだけじゃない、体にもエネルギーが注がれていることを感じることが出来る。こころとからだが調和したような、自然な状態が心身にもたらされる。
盃を重ねるごとに知らず知らず体がこのお酒を求めている。
そして「体に良いものこそ美味しい」ということをまだ自分の体も忘れていないんだなということに気付かされる。